【裏風俗】トルコ風呂はまだ存在する!男性専用サウナで風俗サービスがおこなわれていた、嘘のような本当の話。

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【裏風俗】トルコ風呂はまだ存在する!男性専用サウナで風俗サービスがおこなわれていた、嘘のような本当の話。

裏風俗

なかぞの 4 17,079 2021/02/08

私はこれまで様々な仕事を転々としてきて、フリーランスのライターとして生計を立てるようになったのは、つい最近のことです。

デリヘルの事務スタッフや無修正AVソフトの梱包作業など、いわゆる裏バイトの類もいくつか経験してきました。

今回は、そんな裏バイトのひとつで、ちょっと怪しいサウナ(兼カプセルホテル)の話をしてみたいと思います。

サウナで働く

フリーランスのライターとして活動を始めた当初は収入もかなり少なく、副業(こっちが本業のような気もします)の物品販売の売り上げを合わせても、生活していくのは楽ではありませんでした。

アパートを借りるとお金がかかるので、親族が経営する酒屋の2階に居候させてもらうことにしました。食事もわたしたちと一緒に食べたらいいと叔母から言われ、お言葉に甘えることにしたのですが、やはり食べさせてもらった分の食費くらいは払うべきだろうと思い、週に2~3日だけでもバイトをすることにしたのでした。


私が選んだのは、最寄り駅周辺の歓楽街から少し離れた場所にある、とあるサウナでの仕事でした。時給は安く、大阪府の最低賃金+5円くらいでしたが、近場で通いやすかったのと、何より仕事内容が楽そうだったのが、そこを選んだ理由でした。

〝タオルやシーツを洗濯機で洗うだけ!誰でもできる簡単なお仕事です!〟

求人雑誌にはそう書かれてありました。

こういう楽しそうで軽いノリの広告に、私は弱いのです。無修正AVソフト梱包のバイトのときも、軽いノリのキャッチコピーと可愛らしい動物のイラストに惹かれて応募してしまったのでした。

求人雑誌を見て電話をかけると、男性スタッフが仕事内容を説明してくれました。

朝6時から10時まで、洗濯機を使ってタオルなどのリネン類を洗い、乾燥機で乾かしたものを所定の場所に持って行くというもので、4時間ずっとそればかりしているわけではなく、洗濯のあいまにフロアの掃除をしたり、カプセルホテルの客室係の手伝いなどをしてもらうことになると言われました。

スタッフの話し方はすごく丁寧でわかりやすく、好印象を受けました。自分が思っていたような怪しい店ではないのかもしれないと考え、面接を受けてみることにしたのでした。

希望日を伝えると、当日は店の支配人が面接を担当することになると言われ、少し緊張しました。スタッフの教育がこれだけ行き届いている店なのだから、支配人はきっとしっかりした人物なのだろう。そう思ったのですが……。
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フロントスタッフは銀行員

面接当日、私の前に現れた支配人の男は、想像とはあまりにかけはなれた人物でした。

よれよれの白いスウェットを着て(縮んでしまったのか、えらく丈が短かったです)、汚いジーパンをはいた、頭の禿げた50代くらいのそのオッサンがこちらへ歩いてきたとき、てっきり店に客として来ている浮浪者かと思ったほどでした。

「支配人の柳原です」

男は挨拶をすると、サイズが合っていないらしいジーパンの腰のあたりをくいっと引っ張り上げ、それからラジオ体操をするみたいに両肩をぐいぐい回し始めました。

「ヤバイところに来てしまったかなぁ…」

私はかつての無修正AVソフト梱包のバイトを思い出し、溜め息をつきそうになりました。

支配人からは、事前に電話で聞いていたのと同じような内容の説明を受けました。

「できたら今日からでも入ってほしいくらいですわ」

よほど人手不足のようで、その場ですぐに採用が決まったのですが、いきなり今日からというのはちょっとせわしない感じがしたので、私は「できれば明後日からにしてほしいのですが」と伝え、了解を得ました。

ちなみに、面接の申し込みをしたときに電話に出た応対の丁寧な男性というのは、サウナのスタッフではなく、外部から来ている人物だということが、あとになってわかりました。

そのサウナは経営状態が悪く、銀行の抵当に入っていたため、その銀行から行員がひとり、週に2回ほど監査役として出向してきているのでした。つまり、あれはサウナのフロントスタッフではなく銀行員だったというわけです。

こうして私は週3回、朝の6時から10時まで、そのサウナ兼カプセルホテルで働くことになったのでした。

ひたすら洗濯機を回す日々

仕事はすごく楽でした。利用客が使い終わったタオルなどのリネン類を回収してきて、洗濯機に放り込むだけです。あとは機械が勝手に洗ってくれます。

洗濯が終わるまでのあいだはフロアの掃除などを手伝うよう言われていましたが、掃除専門のスタッフがべつにいるので、よほど忙しい時でない限り、声がかかることはありませんでした。

洗濯スタッフは私の他にもうひとり、田中さんという60歳くらいの男性がいて、4台ある洗濯機をふたりで分担して回していました。

田中さんはいつ見ても同じよれよれのジャージ姿で、紺色の野球帽をかぶっていました。私がそのバイトを辞めるまで、彼が帽子を取った姿を一度も見たことがありませんでした。

履いているスニーカーもいつも同じで、靴底に穴が開いているのか、雨の日になると必ず、足もとから水がしみ出ていました。

田中さんは一見するとガラの悪そうな風貌をしていましたが、実際に話してみると物腰の柔らかい人でした。口数が非常に少なく、私との会話は1日1回くらいで、それもほとんど私のほうから話しかけていました。また、決して笑わない人で、彼が笑ったところを見たのは、たった一度だけでした(これについてはのちほどお話しします)。

洗濯機を回しているあいだ、田中さんはいつも煙草を吸いながらスポーツ新聞を読んでいました。そうでもしないと退屈きわまりない時間だったのは確かで、私も家から漫画や小説を持ってきて読んでいました。1回の洗濯がだいたい20~30分で、それを5回くらい回していましたから、仕事をしに来ているのか本を読みに来ているのか、どっちかわからなくなることがありました。

唯一難点があったとすれば、洗濯機置き場に椅子がなかったことでしょうか。洗濯機を回しているあいだ、ずっと立ったまま(壁にもたれて)本を読んでいました。

支配人に言って椅子を借りることもできたのかもしれませんが、田中さんは椅子を使っておらず、ずっと立ちっぱなしだったので、私のほうからはちょっと言い出しにくかったのです。

大量のおしぼりの謎

バイトを始めて1週間が過ぎたとき(とは言ってもまだ3回しか出勤してませんでしたが)、私はあることに気づきました。毎回リネン室から使用済みのリネン類を回収してくるのですが、どういうわけか〝おしぼり〟だけ枚数がえらく多いのです。

施設内にはカフェや売店といった飲食スペースがありましたから、そこでおしぼりが出されるのかと思っていましたが、そうではなく、サウナで大量のおしぼりが消費されていることがわかりました。

なぜタオルではなく〝おしぼり〟が大量に消費されているのか?
私は考えた末、ある答えにたどり着きました。

「このサウナって、おしぼりをよく使うんですねぇ?」

リネン室へ回収に行った際、リネン係チーフの白沢さんという50代くらいの男性社員に、私はさりげなく聞いてみました。

「そらそうや。ここは表向きは普通のサウナっちゅうことになっとるけど、中では風俗まがいのことやっとるんやから」

白沢さんはヤニだらけの歯を見せて笑うと、客が使い終わったタオルで豪快に顔や首筋を拭いました。

やはり私が考えた通りでした。白沢さんの話によると、ここのサウナ室はピンサロを兼ねていて、そのために毎日大量のおしぼりが消費されるのでした。男性客の汚いイチモツを拭ったり、射精した精液を受けたり拭い取ったりするのに、おしぼりが必要になるわけです。

「ほとんどが50代くらいのオバハンばっかりやけど、たまに20代もおるわ。昨日も新人の女の子が来とったけど、ぴっちぴちのギャルやったで」

白沢さんは股間をぽりぽり掻きながら言うと、そばに置いてあったペットボトルのお茶を一気に飲み干しました。

私はまだ働き始めたばかりでしたし、勤務時間のほとんどを洗濯機置き場で過ごしていましたから、風俗嬢らしき女性が出入りするところは見たことがありませんでしたが、白沢さんが言うには、建物の裏側にある通用口を使ってこっそり出入りしているとのことでした。

女性たちは近隣の風俗店から派遣されてくるらしく、客が払った「特別サービス料」が、サウナ、風俗店、風俗嬢それぞれに分配されるのだとか。風俗嬢にはべつに出張料も支払われ、彼女たちにとってはけっこう割のいい仕事になっているのだと、白沢さんは言いました。

その日の仕事終わり、建物の裏手に回ってみると、たしかに通用口がありました。スチール製のドアにはポケモンやディズニーのシールが無造作に貼ってあり、隅のほうには、テレビだと放送NGなワードが落書きされてありました。

建物の正面入り口のほうへ戻って来ると、そのとき初めて気づいたのですが、自動ドアの横の壁に「男性のみ利用可。女性のご利用はお断りします」と書かれたプレートが貼ってありました。

いわゆるトルコ風呂というやつか!

「ここのサウナって、何かいかがわしいことやってるらしいですねぇ?」

翌朝、私は洗濯機を回しているときに、田中さんにさり気なく聞いてみました。白沢さんが言ったことが事実なのか確認する意味もありましたが、普段から無口な田中さんがどんな反応を示すか見てみたい気持ちもありました。

スポーツ新聞を読んでいた田中さんはゆっくりと顔を上げると、「白沢から聞いたんやろ?」と言い、にやっと笑いました。

私は思わずビクッとしました。今まで一度も笑ったことがなかった田中さんが、そんなふうに笑ったことに驚くと同時に、自分の心の中を見透かされているような気がして怖くなりました。

「ここの支配人のおっさんおるやろ?あのおっさん、昔は京橋のほうでピンサロを経営しとったんや」

田中さんはそう言って、口もとに苦笑いのようなものを浮かべました。

「なかぞの君、風俗とか行くのん?」
「え?」
「いや、なんか、ピンサロに興味あるみたいやったからな」
「ああ、そうですねぇ。たまにヘルスとか行きますけど…」
「ああ、そうなん。このへんも、けっこう面白い店いっぱいあるで」

田中さんは自分から話し始めたものの、元来、人と話すのが苦手なタイプなのか、どこかおどおどしていて、視線が泳いでいるように見えました。


田中さんの口数はその後も少ないままでしたが、ピンサロの話をした日をさかいに、なんとなくお互いの距離が縮まったように感じられました。

リネン係チーフの白沢さんからは、また新たな情報を仕入れることができました(真偽のほどは置いといて)。

施設内には個室のサウナもあって、そこではピンサロどころかヘルスなみのサービスがおこなわれているそうでした。

また、ジャグジー風呂で風俗嬢と混浴できるサービスもあり、お互い合意のもとで本番行為に及んでしまうこともあるのだとか。

大浴場と小浴場があり(どちらもジャグジー風呂)、どちらでおこなわれていたのかまでは聞かなかったのですが、おそらく小浴場のほうでしょう。もし大浴場だったら、AVなみの大乱交が繰り広げられていたかもしれません。

私は、これはいわゆる「トルコ風呂」というやつなのでは?と思い、白沢さんに聞いてみると、「お前よう知ってるなぁ。たしかにその通りや。そのうち本格的なソープでも始めよるかもしれんでぇ!」と嬉しそうに言い、客が使い終わったおしぼりで顔や首筋を拭っていました。

派遣風俗嬢の正体

サウナで働き始めて2か月くらい経った頃、仕事終わりに何気なく通用口のほうを覗いてみると、ちょうどふたりの女性が出てくるところでした。

ひとりは60歳くらいのおばちゃん(お婆ちゃんと言っても差し支えない感じでした)で、もうひとりは20代後半くらいの、なかなかの美人でした。

私はふと思い立って、ふたりのあとをつけてみることにしました。サウナに出入りしている風俗嬢がどこの店から派遣されてきているのか興味がありましたし、あわよくば彼女たちと知り合いになって楽しいことができるのではないかと思ったのです。(もちろん、このとき私の気持ちは若いほうの女性だけにしか向いていませんでした。)

歓楽街の中へ入って行くと、ふたりは別々の方向へと歩いて行きました。おばちゃんは飲食店ばかりが並ぶ通りを抜けて商店街のほうへ。若い女の子は歓楽街のメイン通りをまっすぐ進みました。

私は20mくらい距離をとりながら、若い女の子のあとをつけていきました。

メイン通りのなかほどまで来たとき、とつぜん、女の子の姿が見えなくなりました。人ごみにまぎれていたとはいえ、まさかテレポーテーションしたとは思えません。

メイン通りには、平行して走っている別の通りへ抜ける枝道がいくつかあり、女の子はそのどこかへ入って行ったのでしょう。私は駆け出すと、急いで彼女の姿を探しました。

裏路地のような細い通りがあり、そこを覗いたとき、彼女の姿がありました。彼女が細長いビルの中へと入って行くのが見えました。私は何も考えず、あとを追いました。

通りに足を踏み入れると、そこは中国エステの巣窟のような場所でした。

昼間でも薄暗くジメジメした通りの両側に建ち並ぶ汚いビルの前には、チャイナドレス姿の美女などを描いたたくさんの電飾看板がひしめき合うように出ていました。まだ灯りは点っておらず、客引きの姿もなくしんとしていましたが、それがかえって怪しい雰囲気を漂わせていて、私は心なしか恐怖を覚えました。

彼女が入って行ったビルの前にも同じような看板が出ていて、40分3000円と書かれてありました。その場に立ってビルの2階の窓を見上げていると、中年の男性が階段を下りてきました。

「お兄さん、よかったらどうぞ。今だったら若い女の子いっぱいいますよ」

男性に声をかけられた私はとっさに言葉を返せず、ぺこぺこと頭を下げると、慌ててその場を立ち去りました。


メイン通りから駅のほうへ向かう途中、田中さんを見かけました。くわえタバコで不動産屋の横のビルの地下へと続く階段を下りて行く彼の後ろ姿を見ながら、私は思わずニヤッと笑ってしまいました。

そのビルの地下に入っているのは、『M』という名前の中国エステ1軒だけのはずでした。たしか、本番ありの違法店だったと思います。


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この記事を書いた人

なかぞの

大阪府生まれ。22歳で文芸同人誌に参加。文学・アート系雑誌での新人賞入選をきっかけに作家業をスタート。塾講師、酒屋の配達員、デリヘルの事務スタッフなど様々な職を転々としたのち、現在はフリーライターとして活動中。足を踏み入れるとスリルを味わえそうな怪しい街並み、怪しいビルの風俗店を探し歩いている。

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