客入りがいいとストリップショーが始まる大阪東三国のスナック【酒屋の配達員は見た!】

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客入りがいいとストリップショーが始まる大阪東三国のスナック【酒屋の配達員は見た!】

「酒屋の配達員は見た!」

なかぞの 0 334 2024/03/14
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今年1月下旬、大阪のディープスポット十三を代表する〝大人の社交場〟が3店舗同時に閉店を発表しました。

『アルサロ ふうりゅう』『キャバレー ニュー大統領』そして『BOSTON CLUB』。十三で70年近く営業を続けてきたレジェンド的な店ばかりです。

ポールダンスやバンド演奏など様々なショーを間近で楽しむことができる、昭和の香りがムンムンと漂う店内。この令和の時代にも一部の愛好家からは絶大な支持を得ていました。

そんな古き良き時代の社交場が消えてしまったあとの風景を思い浮かべて、私はちょっと寂しい気持ちになってしまいました…。


さて今回は、そんな十三の話ではありませんが、かつて大阪の東三国にあった、とあるスナックの話をしてみようと思います。ちょっとだけポールダンスにからんだエピソードです。

食のバラエティーに富んだ街

私が勤めていた酒屋の主な配達エリアは十三と西中島でしたが、同じ淀川区内の東三国にも2店舗だけ得意先を持っていました。ひとつは韓国クラブで、もうひとつが、今回の話に登場する『スナックY』(仮名)でした。

東三国という街には歓楽街はなく、いわゆる〝夜の店〟はかなり少数ですが、飲食店は街じゅう軒並みにあり、食べる場所には困りません。

グルメ雑誌などでも紹介される人気店のほか、地元住民のあいだで長年に渡り愛されてきた隠れた名店のようなものまである、食のバラエティーに富んだ街だと思います。

『スナックY』は大阪メトロの東三国駅からほど近い場所で営業していましたが、オフィスビルの隙間の路地のような細い通りのレジャービルに入っていたため、土地勘のない人には探すのがちょっと難しい店だったかもしれません。

物静かでミステリアスなママがいる店

『スナックY』には30代なかばくらいのママと、若いホステスが3~4人いました。私が配達に行くのはたいてい営業時間前で、ママがひとりで開店準備をしていました。

ママはすごく物静かな女性で、いつも伏し目がちで、小声でささやくような話し方をする人でした。ニコッと微笑むことはあっても、口を大きく開けて笑ったところは見たことがありませんでした。

しかし、すごく綺麗な人で、色っぽさもありました。ZARDの坂井泉水さんを少しふっくらさせた感じの顔立ちでした。さらさらの長い髪、繊細そうな細い指…。

露出の多い服装はしない人でしたが、たまにタイトなワンピースを着ていると、スタイルの良さが見て取れました。

私は日頃から、ちょっと怖そうなママや、こてこての大阪弁のよくしゃべるママばかり見ていたせいか、『スナックY』のママと会うとなんだか癒される感じがしたものでした。

どことなくミステリアスな雰囲気を感じさせるママのことを、私はだんだん好きになっていきました。

店内に謎のポールが2本

場末のスナックにしてはやや広い間取りになっていた『スナックY』。7人くらい座れそうなカウンターと、ゆったりとした大きめのボックス席が間隔をあけて3つ並んでいました。

そしてなぜか、ボックスとボックスの間に謎の金属製のポールが2本立っていたのでした。床と天井でしっかりと固定された太いポールで、いったい何のためにあるのか私は不思議に思っていました。

電車内にポールが立っているのを見たことがあったので、もしかするとその店内のポールも、酔った客が倒れないようにつかまるためだったり、年配の客が「よっこいしょ」と言って立ち上がる時に使う手すりのようなものなのかもしれないなと、私は考えました。

いちどママに聞いてみようかと思いましたが、何となく恥ずかしくて聞けませんでした。口数の少ない女性でしたから、配達に行ってもほとんど会話らしい会話はありませんでした。

納品を終えて店を出るときに、私が「ありがとうございましたー」と言うと、ママはいつも「ごくろうさまー」と言ってくれるのですが、そのときの優しい声が私はたまらなく好きで、その声を聞くために配達に行っているといっても言い過ぎではなかった気がします。

ママのパンツスーツ姿に大興奮!

一度すごく寒い日に、運搬車(配達用の荷台が付いた自転車)で『スナックY』まで配達に行ったことがありました。たまたまトラックが2台とも使用中で、戻って来るまで時間がかかりそうだったので、運搬車で行くことになったのでした。

『スナックY』まで25分くらいかかりました。寒風が吹くなか自転車を飛ばしてきたせいで指先がかじかんでいました。

納品作業を終えて支払いのお金を受け取るとき、手が触れると、ママが「手、つめたいねー」と驚いたように言いました。いつも伏し目がちだったママが初めてはっきりと笑顔を見せた瞬間でした。

こんなに明るく笑う人なんだ…。ちょっと意外な一面を見た気がしました。

「今日はたまたま自転車で来たので…」
「えー、自転車で来たの?寒かったでしょう?」

私はその場で5分くらい、ママと世間話をしていました。ママは思っていたより気さくで、話しやすい人柄でした。少しだけお互いの距離が縮まったように思えて嬉しくなりました。

この日のママはグレーのパンツスーツ姿でしたが、それがすごくよく似合っていました。すらっとした長い脚と綺麗なヒップラインが魅力的でした。

帰り道、重たい運搬車を漕ぎながらママのヒップラインを思い浮かべていると、寒さで縮こまっていた股間のイチモツも、いつの間にやら半勃起状態になっていました。

ママと初めて会話らしい会話ができて気分がよくなった私は、店の倉庫に戻ると、先輩従業員にそのことを話しました。

「あのママなぁ、おとなしそうに見えて、けっこうハチャメチャなとこありそうやで」

自衛隊あがりの40代の従業員は、口元に皮肉っぽい笑みを浮かべて言いました。

「そんなことないですよぉ。あのママは本物の清楚系ですよぉ」

私は反論しました。

「ちがうちがう、あの尻の形は、なかなかのあばずれや」
「お尻の形で性格がわかるわけないでしょ」
「わかるわかる。俺ぐらいになったらわかるんや」

先輩はそう言い放つと、冷蔵庫から商品の缶コーヒーを勝手に取って飲み始めました。

ママがポールダンスでハッスルしていた!

次の週もまた『スナックY』へ配達に行ったのですが、その日はめずらしく追加注文があり、夜9時頃に再び配達に行くことになったのでした。

そんな時間に『スナックY』へ行くのは初めてでした。営業時間中に行くのは、私はあまり好きではありませんでした。接客中だといろいろ気を使いますし、中には酔って絡んでくる客もいるからです。

店のママやホステスが泥酔している場面に遭遇したこともあり、支払いの際にまともに会話が成り立たなくて面倒だったことがありました。こちらから何か伝えるべきことがあるときは、酔っていなさそうな女の子にメモを書いて渡しておいたらいいと、酒屋の店主から教えられました。

『スナックY』の前まで来ると、カラオケの音声が店の外まではっきりと漏れ聞こえてきていました。

扉を開けると、思った通り耳を聾さんばかりの大音量。と同時に、私の目に飛び込んできたのは信じられないような光景でした。

なんとあの物静かなママが、例のポールにつかまって猛ハッスルしていたのです!スカートを腰のあたりまでまくり上げ、Tバックの尻を客の前に突き出していたのです!

私は唖然としてしまい、商品を抱えたまましばらく店の入り口で立ち尽くしていました。ホステスのひとりが私に気づいて、こちらへ駆け寄ってきました。

「あれ、何やってるんですか?」私が聞くと、若いホステスはちょっと困った顔つきで「たまにああいうことになっちゃうんですよねぇ…」と言い、商品を運ぶのを手伝ってくれました。

私が納品作業をしている間ずっと、ママのハッスルは続いていました。ポールに自分の股間をグイグイこすりつけたり、10人くらいいる客の前で腰を振ったりしていました。

ママのそばでカラオケを歌っていた客がいたのですが、歌が終わると、ママは「おーい!もっと歌えー、このハゲー!」と頭のてっぺんがハゲた客の頭を阪神タイガースのメガホンでポコポコ叩いては歓喜の声を上げていました。

客もそれを目当てに来ているのか、みな大喜びで盛り上がっていました。ママはストリップショーさながらに両脚をがばっと開いて客に股間を見せつけていました。

きわどい部分まで見えそうで、普段なら私も興奮してしまうところでしたが、その時はさすがにそんな気になれませんでした。

「なんか騒がしくてすみませんね」

支払いの際、若いホステスが申し訳なさそうに言いました。

「ママ、お酒が入ると変わるタイプですか?」

私が聞くと、ホステスは首を横に振りました。

「お客さんが入ると変わるんです」

そう言って苦笑いを浮かべていました。

ママはべつに酒乱ではなく、普段はホステスたちの前でもおとなしいそうなのですが、客の入りがいいと急に上機嫌になるらしく、たまにハッスルしてしまうことがあるのだとか。

やはり先輩従業員が言っていたことは正しかったようです。しとやかな雰囲気の女性が、あんなあばずれに豹変してしまうとは…。

呆然としながら店をあとにした私でしたが、先ほどの光景を思い浮かべているうち、だんだんムラムラしてきて、家に帰ったらママの破廉恥な姿を妄想しながらオナニーをしたくなってきたのでした。

で、結局あの2本のポールは何のためにあったのでしょう?

あの破廉恥な見世物のためにわざわざ設置したのだとしたら、あのママは私が考えている以上に好き者だったのかもしれません。


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この記事を書いた人

なかぞの

大阪府生まれ。22歳で文芸同人誌に参加。文学・アート系雑誌での新人賞入選をきっかけに作家業をスタート。塾講師、酒屋の配達員、デリヘルの事務スタッフなど様々な職を転々としたのち、現在はフリーライターとして活動中。足を踏み入れるとスリルを味わえそうな怪しい街並み、怪しいビルの風俗店を探し歩いている。

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