こんにちは、元エロ本編集者の蒼樹リュウスケです。
AV業界に関する疑問として多いものに「AVでは撮影で本番をしているけれど、それって違法じゃないの?」というものがあります。
そういった議論で頻繁に飛び出てくるのが「AVはモザイクがかかっているから、違法じゃないんだよ」との意見。
なんかこの意見が出てくると「ああ、まあそうなのかもしれないな……」て感じで議論がおさまる場合が多いのですが……「本当にそれで良いのか?」との考えも頭に浮かんできてしまいます。
本当に「モザイクがあるから、AVで本番しても問題がない」は真実なのか、ちょっとAV業界関係者としていろいろと考えてみました。
なぜ「AVではモザイクがかかっているから違法ではない」と言われるのか?
そもそもの問題として、なぜ「AVはモザイクがあるから、本番しても違法ではない」と言われているのでしょうか。
理由としては、モザイクがあると万が一警察に逮捕されそうになっても「実際には本番はしてないんですよ」と言い訳ができるため……とされています。
でも考えてみてください。
日本の警察が「モザイクがあるから本番しているかわからない」なんて理由で「じゃあ大丈夫です!」と言ってくれるような、甘い組織だと思いますか?
「じゃあモザイク前の映像を見せてください」「関係者に話を聞かせてください」となるに決まっていますよね。
もちろんそうなったら、実際に本番していることはバレバレです。
もしAVでの本番が理由で逮捕されるのであれば、今頃AV業界関係者は数千人単位で逮捕されていることでしょう。
しかし実際問題として「AVで本番をしたから逮捕された」なんて業界関係者の話は、聞いたことがありませんよね。
もちろん「AV業界で逮捕者が出たことがない」わけではありませんが「本番を理由に逮捕された人はいない」のです。
逆に考えると「AVで本番をしても、もともと逮捕されることがない」のだと結論付けられないでしょうか?
AVで本番をしてもそもそも逮捕される可能性は非常に低い!
ここで考えなければならないのが、それではAV業界で逮捕者が出るのはどのような場合なのか、という点です。
過去にAV業界関係者が警察にご厄介になったケースには、どういったものがあるのでしょうか。
「公然わいせつ罪」での書類送検
2016年に、キャンプ場でおこなわれた撮影が「公然わいせつ罪」に当たるとして、出演者やスタッフなど50名以上が書類送検されたケースがあります。
最終的に不起訴となりましたが、この事件がきっかけで「野外露出モノ」のAVがかなりマイルドな内容になったのは、AV業界へ大きな影響を与えた、と言えるでしょう。
「わいせつ物頒布等罪」(無修正)関連での逮捕
2017年に、無修正アダルト動画に出演したとして「わいせつ物頒布等罪」関連で、AVプロダクションの社長やAV男優、AV女優などが逮捕されています。
当時は日本のAV女優が、無修正アダルト動画販売サイトの動画に数多く出演していました。
日本のAV業界の第一線で活躍しているような有名女優の名前もかなり多く、個人的に「このまま無修正業界に日本のAV業界が踏み荒らされるのでは?」と心配したことを覚えています。
「サーバーが海外のものだから、日本の警察には逮捕されない」との説明を受けて出演していたAV女優がほとんどでしたが、残念ながらサーバーが海外にあろうが国内にあろうが関係なく逮捕される、との現実が明らかになった事件、と言えるでしょう。
ちなみに逮捕はされましたが、こちらも不起訴となっています。
またこの事件をきっかけに、日本人AV女優が無修正アダルト動画に出演するケースもめっきり減りましたね。
AVでの本番は「合法とも違法とも言えない」グレーゾーンにある!
今まで見てきたように、AVで「本番をしたから」違法として逮捕されるわけではありません。
AVの撮影を無関係の人に見られる可能性があったり、無修正アダルト動画に出演したり関係を持ったり、といった点が問題となるケースがほとんどなわけです。
しかしだからと言って「AVの撮影で本番をするのは合法である!」と勝利宣言をするのは、まだ早いです。
けっして「合法」だと決まっているわけでもないことは、理解しておかなければならないでしょう。
どういうことかと言えば、単純に「AVの撮影は合法である」または「違法である」と、はっきり定めている法律がない、というのが現状となっているのです。
つまりAVでの本番撮影は「関係者以外に見られない状態で」「世に出るときには無修正でなければ」「合法でもないけど違法でもないから、なんにも言わないよ」とされている状態、なわけですね。
めっちゃくちゃ「どっちつかず」「灰色の結末」のなかで存在しているのが、AVの本番という存在なのです。
つまり今後「AVの本番は違法だ!」となって、すべてのAVから本番が失われる可能性もゼロとは言えません。
実際に「どうせモザイクを入れるんだから、本当に本番をしなくても問題ないでしょ?」みたいな意見を述べる、業界関係者(を名乗る人)もいます。
ただAVを見る人間としたら、AV業界が本番禁止になったら、AVがめちゃくちゃ味気ないものになるだろうな、とは思いますね。
挿入シーンを見ても「ああ、これは全部演技なんだよな」と考えてしまって、はっきり言って興奮するのは難しくなるでしょう。
「実際に挿入している」との事実が、AV女優さんが「感じている」との事実にリアルさを与えているのは間違いないためです。
たとえモザイクで合体部分が見えないとしても。
たとえAV女優さんの感じ方が、どうにもわざとらしいように見えたとしても、です。
モザイクに隠れたその下の部分に、見えないからこそのリアルさが生まれる、そのことを考えずに、安易に「本番禁止すれば良い」なんて言うのはあまりにも思慮が浅い、と言わざるを得ませんね。
結局日本のAVにとっては、このまま「グレー状態」であるのが一番望ましい状態なのかもしれません。