これは、私がチャイエスの女の子と出会えて本当によかったと思えた話です。彼女との付き合いは今でも続いていて、私の生活基盤を支えるのに少なからず役立ってくれています。
あの有名アイドルによく似たチャイエス嬢
大阪の日本橋にある中国エステで初めて彼女と出会ったのは、今から4年くらい前のことです。その店には何の下調べもせずにふらっと立ち寄っただけでしたが、私にとってはちょっとした幸運の始まりでした。
店のママに呼ばれて出てきたのは、見た感じ30代前半くらいの背の高い女の子でした。
「バスト90㎝。サービスもすごくいいですよ」とママは自信ありげに言いました。
アイという源氏名のその嬢は、肩のラインが綺麗なすらっとした体型で、胸の大きさは着ていたワンピースの上からでもはっきりと見て取れました。
アイさんを見たとき、「誰かに似てる気がするなあ…」と思いましたが、誰だったかすぐには思い出せませんでした。
部屋へ案内され、彼女が温かいお茶を出してくれました。プーアル茶なのかどうかはわかりませんが、中国のお茶の味でした。この日は寒かったので、一気に体が温まる感じがしました。
私がお茶を飲んでいるあいだに、アイさんがマッサージの準備を整えていました。
ひとつひとつの作業がすごく丁寧で、私はこの時点ですでに彼女に好感を抱いていました。彼女の動きはゆったりしていて、せかせかしたところがまったくありませんでした。日本語の発音が少し聞き取りにくかったのはありますが、話しかけてくるときは常に笑顔でした。
アイさんが誰に似ているのかを思い出したのは、彼女が笑顔で「どうぞ」と言って、フローリングの床に敷いた布団を手でぽんと叩いたときでした。
指原莉乃!そう、彼女は指原莉乃に似ていたのです。
ちょうど「恋するフォーチュンクッキー」でセンターを務めた頃の指原莉乃の雰囲気でした。
ひとつひとつのパーツを見ると似ているようには思えませんが、全体の顔立ちが似ていて、指原莉乃が中国人ファンから絶大な支持を得ている理由が、このときなんとなくわかったような気がしました。
そのあと約40分間、私は彼女の丁寧なマッサージでたっぷり癒されました。
その店は本番OKの違法店ではありません。マッサージのみの、れっきとした健全店です。ハンドサービスもありませんでしたが、私はじゅうぶん満足して帰ることができました。次もまたアイさんを指名しようと思いました。
雑貨ブローカーの男と出会う
その当時、私は自宅の敷地の一画を改装して、小さなリサイクルショップを始めたばかりでした。それ以前からヤフオク!やメルカリに商品を出品していて、ちょっとした小遣い稼ぎにはなっていました。『トランスフォーマー』のおもちゃを出品したときは、最高で1ヵ月25万円ほど売れたこともありました。それで味を占めた私は、本格的に商売を始めることを考え、古物営業の許可まで取り、リサイクルショップを始めたのでした。
3度目に例の中国エステを訪れたとき、私はアイさんを食事に誘いました。彼女はあっさりOKしてくれました。それ以来、何度かプライベートで会う機会に恵まれ、彼女とはすっかり親しい間柄になっていきました。
食事の席で、私は自分の商売のことをアイさんに話しました。
すると、彼女が「わたしの知り合いこの近くで雑貨の店やってる。その人紹介してあげる」と言いました。
話を聞くと、その知人はブローカーのようなことをやっていて、独自のルートを使い、売れ残り商品や、廃業した店の商品を安く大量に仕入れているようでした。
「洋服もCDもいっぱいある。あなた安く買えるようにわたし頼んであげる」彼女は言いました。後日、私はその知人に合わせてもらうことになりました。
アイさんに案内されて行ったのは、道頓堀川のほとりの小さな免税店でした。外から見ても営業しているのかどうかわからない、ちょっと入りにくい雰囲気の店でした。「日本人気商品」と書かれた看板が出ていました。
彼女の知人というのは、チェン(仮名)という名前の50代なかばくらいの中国人男性でした。色黒で痩せていて猫背で、お腹だけがぽっこり出ていました。日本語は堪能なのですが、かなり早口で、話しながら常に神経質そうに眼をしばたたかせていました。最初は少し取っつきにくい雰囲気がありましたが、話しているうちに、なかり気さくな人物であることがわかりました。
チェンさんが倉庫へ案内してくれると言い、3人で向かいました。中国エステの看板がひしめく細い通りにあるマンションの一室を、彼は倉庫として使っていました。
室内には目を見張るほどの膨大な数の、ありとあらゆる品物が詰め込まれてありました。
洋服が多いように思いましたが、CDやDVD、ゲームソフト、携帯電話やパソコン、さらにアダルトグッズなんかも大量にありました。
「あなたCD欲しいか?これ、いっぱいあるよ」
チェンさんが指さした先には大量のダンボール箱が積み重ねてあり、中身はすべてCDでした。レンタル落ちのものも中には混ざっていましたが、ほとんどが綺麗な状態の中古品でした。
「新品もあるよ」
彼が出してきたダンボール箱には、新品未開封のCDがびっしり詰まっていました。
AKBや乃木坂のものが大量にありました。多くのファンが握手会のチケットを目当てに購入し、握手会が終わってしまうとほとんど売れなくなるという話を聞いたことがありましたが、そういった売れ残り品がここに流れてきているのだろうと思いました。
私が大量のCDを夢中で眺めていると、チェンさんがそばへ来て言いました。
「これ1箱980円」
「ええっ!980円!?」
私は思わず声を上げました。ざっと数えただけでも150枚はありましたから、1枚およそ6.5円という計算になります。シングルとアルバムがごちゃ混ぜになっているとはいえ、これだけの破格で仕入れることができれば、ネットフリマで送料込み300~400円で販売したとしても、けっこうな利益が出ることになります。
「本当に980円で売ってもらえるんですか?」
「そう、ほんと」チェンさんがきっぱりと言いました。
「わたしの紹介だから」アイさんが横から言い、可笑しそうに笑いました。
翌日、私は再びチェンさんのもとを訪れました。
倉庫内の商品をじっくり見させてもらい、CD2箱と、AKBグループの生写真を1綴り購入しました。生写真は1綴り80枚で100円でした。
帰り際、チェンさんが「これもあげる」と言って、『アフィリア・サーガ』という聞いたことのない名前のアイドルグループの生写真を1綴り渡してきました。こんな誰だかわからないアイドルの生写真なんか売れるのかなあと思いましたが、タダだったのでもらっておくことにしました。
アイドルグッズは売れる!
仕入れてきたCDや生写真をさっそくネット上で出品しました。もちろん、実店舗のほうでも店頭販売しました。CDは1枚1枚試聴し、ちゃんと音が出るかどうかチェックしました。
結果から言うと、仕入れにかかった2000円は1日で回収できました。
いちばん高値で売れたのは、乃木坂46の白石麻衣の生写真でした。AKBの生写真の中に3枚ほど混ざっていたのですが、これがかなりのプレミアもので、けっこうな高値で取引されていることがわかったのです。私は相場の平均価格で販売しましたが、出品したその日のうちに完売してしまいました。
CDはそれほど高値のつくものはありませんでしたが、実店舗のほうでまとめ買いしてくれる人が何人もいたので、売れ行きはそれなりに良かったと思います。
ただ、予想はしていましたが、やはりAKBや乃木坂のCDはぜんぜん売れませんでした。握手会が終わった後では、ファンは見向きもしないようです。CDを聞きたいのではなく、握手券が欲しいだけなのでしょう。かつてのビックリマンチョコのおまけのシールと同じ現象です。
何より驚いたのは、例の「アフィリア・サーガ」という聞いたことのない名前のアイドルグループの生写真が飛ぶように売れたことです。そのグループのメンバーは、カフェ&レストラン『アフィリア・グループ』のキャストによって構成されているそうで、一般的にはあまり知られていませんが、コアなファンが大勢いることがわかりました。
私がチェンさんからもらったのは、すでに脱退してしまった初期のメンバーの写真ばかりだったようで、それを探していたファンがけっこういたのかもしれません。ひとりで10枚くらいまとめ買いしてくれる人もいて、あっという間に完売してしまいました。
アダルトグッズも売れる!
アダルトグッズを仕入れてきて販売したこともあります。
アダルトといっても、バイブや電マといった類のものではありません。その手のものはネット上では出品が禁止されていることがほとんどなのです。
私が出品したのは、セクシー系のコスプレグッズです。チェンさんから「これ人気あるよ」と言われ、数点まとめて仕入れたミニスカポリス風のコスチュームは、すぐに完売しました。
購入してくれた人は男性と女性が半々くらいでした。最初は売れるかどうか半信半疑での出品でしたが、こういう商品もけっこう需要があることがわかりました。
ふたりとの出会いに感謝
その後も、月に1回くらいのペースでチェンさんのもとを訪れ、商品を仕入れました。
たいてい2000~3000円くらいの買い物でしたが、それでも充分すぎるくらいでした。
その商売だけで生活するには程遠い売り上げですが、小遣い稼ぎとしてそれなりに満足できるくらいには売れました。今でも私にとって、貴重な収入源のひとつになっていることは間違いありません。
最近は売り上げも落ちていて、仕入れの回数もぐんと減りましたが、必要になればいつでもチェンさんところへ足を運ぶつもりです。あそこへ行けば思いがけない掘り出し物に出会えることがありますから。
アイさんとチェンさんには本当に感謝しています。