これまで、中国人エステ嬢やホテヘル嬢とのあいだには色々な出来事がありました。楽しいことばかりではなく、腹が立ったこと、残念な思いをしたこともたくさんあります。
旧シリーズの『チャイエス店外日記』の中でも書きましたが、ストーカー事件に巻き込まれたり、武装した四人組の中国人の若者に襲撃されたりしたこともありました。
そんな数あるエピソードの中で、私がこれまででいちばん腹が立った出来事を、今回はご紹介したいと思います。
マッサージが上手な中国人ホテヘル嬢
その夜、知り合いの元エステ嬢が経営する中国料理店で食事をしたあと、行きつけの中国人ホテヘルに足を運びました。比較的ルックスのいい女の子が多く在籍していて、大阪のミナミを訪れたときにはよくこの店を利用していました。
風営法の届出をしている店ではあるのですが、サイトに表記されたプレイ内容はあくまで建前で、実態は「本番OK」の違法店なのでした。
その日は肩が凝っていたので、マッサージが上手な女の子を希望すると、受付のおっちゃんは迷わずリカ(仮名)という子を薦めてきました。25歳で、中国にいたときはマッサージ専門の店で働いていたとのことでした。
エレベーター前で対面した彼女は小柄で、身長は150㎝くらいしかないように見えました。
「リカです。よろしくお願いします」
可愛らしい声でそう言い、ペコっと頭を下げた彼女。顔を上げた彼女の蠱惑的なまなざしに、私は思わずゾクッとしてしまいました。
緊張しているのか、もともと大人しい性格なのか、ホテルに着いてからも彼女の口数は少なく、私のほうから話しかけることがほとんどでした。
しかし、いざプレイを始めると、打って変わって積極的になり、艶めかしい仕草と声で私を興奮させてくれました。体つきは華奢でしたが、ほどよい大きさの胸は形がよく、ウエストからヒップにかけてのラインも綺麗でした。
プレイを終え、余った時間でたっぷりとマッサージを施してもらいました。
受け付けのおっちゃんの言葉に嘘偽りはなかったようです。彼女のマッサージの腕前はなかなかのものでした。
つま先から頭のてっぺんまで丁寧にもみほぐしてもらい、私は途中で寝落ちしてしまいそうなくらい気持ちよくなれました。
この次もまた彼女を指名しようと思った私は、帰り際、彼女に「名前なんだったっけ?」と聞きました。私はうろ覚えで、リカだったかリナだったか、はっきりと思い出せなかったのです。
「リカ」
ぶっきらぼうに言った彼女が、少しムッとしたように見えましたが、私が「LINE交換してもらってもいい?」と聞くと、彼女は嫌な顔をすることなく素直に応じてくれました。
「また近いうちに指名するから」と言う私に、彼女はニコッと笑い、互いに手を振って別れました。
彼女からデートの誘いが来た!
その後も2回、リカを指名しました。相変わらず口数は少なかったですが、プレイでは必ず満足させてくれましたし、マッサージも上手で丁寧でした。
彼女が中国へ一時帰国し、そのあいだ私は、店にも足を運ぶことはありませんでした。
2か月ほどして、彼女からLINEにメッセージが届きました。
「昨日に帰ってきました。今度わたしとデートしませんか?」
私は迷わずOKの返事をしました。
4日後、私はリカと大阪の京橋で会うことになりました。
彼女の態度が一変。私は脅迫され…。
その日は午後から雨になりました。10月半ばにしては気温が高く、空気も湿っていました。
ちょうど夕方のラッシュどきで、電車内はかなり混雑していて、不快なくらいムシムシしていました。
ドア付近にもたれて立っていると、LINEにメッセージが届きました。リカからでした。
「ごはん食べる前に、先にホテルに行きませんか?」
私としては、腹ごしらえをしたあと、ホテルへ行ってゆっくりしたかったのですが、ここは彼女のリクエストに応えてあげることにしました。
駅前の広場に着くと、リカが私を見つけて駆け寄ってきました。
「久しぶりねぇ、会いたかったぁ」
彼女がいきなり腕をからませ、体を密着させてきました。
「ごはんあとにしてゴメンね。はやくエッチしたかったの」
彼女は私の顔を舐め回すかのように色目を使い、歩きながら体のあちこちに手を触れてきました。明らかに、これまでのリカとは別人のような態度でした。
おかしい、これは何かあるな…。
私は警戒しました。LINEで「先にホテルへ行きたい」と言ってきた時点で不審に思っていましたが、それが確信に変わりました。
いま思えばここで引き返すべきだったのですが、男の性というのは悲しいもので、彼女とエッチなことをしたいという気持ちだけは抑えることができなかったのでした。
ホテルの部屋に入ると、彼女は待ちきれないといった感じで私にむしゃぶりついてきました。ベッドに倒れ込み、シャワーも浴びずに交わりました。
事を終えると、私はもう一戦交えるつもりで、そのままベッドに横になっていました。
「おなか減ってきた。ごはん食べに行きたい」
そう言うと、リカはひとりでバスルームへ入ってシャワーを浴び始めました。
あっけにとられた私は、彼女の後を追ってバスルームに入りました。
「もう出るの?もうちょっとゆっくりしたいんやけど」
私が不満げに言うと、彼女は「もういいでしょ?わたしおなかペコペコよ」と言い、イラッとした表情を浮かべました。
仕方なく私もシャワーを浴び、帰り支度をしました。
部屋を出ようとした私の前に、彼女がさっと立ちはだかりました。
「お小遣いちょうだい」
手を差し出した彼女の口もとに、いやらしい笑いが浮かんでいました。
そういうことか…。私は小さく溜め息をつくと、千円札を2枚、彼女に渡しました。
彼女の口もとからすっと笑みが消えました。
「これなに?たったの2千円?」
彼女はイラついた様子で、千円札を私に突き返してきました。
「お小遣いって言うから…。ごはんは別におごるよ」
私が言うと、彼女は大きな溜め息をつきました。
「店だったら90分18000円でしょ?」
「ちょっと待って。今日はまだ40分くらいしか遊んでないよ。それに、こっちから誘ったわけじゃないし。リカがデートしたいって言うから、こっちもスケジュール空けたわけでしょ?」
「そもそも小遣いって何?店と同じようにお金とるんやったら最初からそう言ってくれたらよかったやろ。こっちだって、それで断ったりせえへんよ」
腹が立った私は、やや強い口調で言いました。
すると、彼女の態度が一変したのです。チッと舌打ちすると、これまでに見せたことのない凶悪な目つきになり、喧嘩を売るような態度に出たのです。
「あなた自分が何したかわかってるか?本番は違法よ!わたし本番したいなんてひとことも言ってないよ!わたし警察に言ったらあなた捕まるよ!」
彼女は一気にまくし立てました。
「ちょっと待て。店でだってやってるやろ。今さら何を言ってるんや!」
「あれは仕事ね!これは違う!わたし本番したくないのに、あなた無理やりやった!わたし警察に言う!あなた捕まるよ!」
彼女の態度はもはやチンピラそのものでした。
私ははらわたが煮えくり返る思いでしたが、ここで大声を上げたり手を出したりしたら相手の思うつぼです。私はぐっとこらえました。
財布から万札を1枚取り出すと、先ほどの2千円と合わせて彼女に渡しました。
彼女は不満そうな顔で「はぁー」と溜め息をつきました。
溜め息をつきたいのはこっちのほうでした。
彼女は私の手から紙幣をひったくると、「ごはんはもう無しよ」と言い、そそくさと部屋を出て行ってしまいました。
ひとり残された私は、これ以上ないくらいの深い溜息をつきました。
ホテルを出て駅裏の薄暗い通りを歩いていると、無性に腹が立ってきて、私はそばにあったゴミ箱を思い切り蹴とばしました。コンクリートブロックに腰を掛けて携帯電話をいじっていた労務者風の男が、不審な目で私を見てきました。
電車に乗ると、すぐにリカのLINEをブロックしました。またしても溜め息がこぼれました。電車から降りたあとも、腹立たしい気持ちや後悔の念は消えませんでした。
家に帰ると、メール便が届いていました。ネットで注文しておいた商品でした。楽しみにしていたものだったので、それでいくらか気持ちを紛らわすことができました。
それから、そして現在。
10日後、私は急病を患い、しばらく通院するはめになりました。
病気が完治し、最後の通院を終えて帰って来た私は、不思議なくらい体が軽く感じられました。
何かが吹っ切れたように清々しい気持ちになった私は、すっかり夜遊びから足が遠のいてしまいました。
SMボンデージキャバクラの女の子とUSJに行く約束をしていましたが、それも果たせないままになってしまいました。もちろん、チャイエスにも行かなくなりました。
それからしばらく経ち、あの腹立たしい出来事の記憶も少しは薄れてくると、私は再び夜遊びを始め、チャイエスにも足を運ぶようになりました。そして5年が経ったいま、あのときの経験をもとに『チャイエス店外日記』なるコラムを書いています。